2026年9月30日

川・堤防に近い家を解体する前に|河川区域・保全区域と許可の確認手順

川や堤防に近い家の解体は、工事場所がどの区域に入るかを調べ、河川管理者へ工事内容を示してから進めましょう。地上の建物を壊す作業と、基礎を掘り出す作業では、確認する手続きが異なる場合があります。自己所有の土地でも、河川法の確認が不要とは限りません。

川に近いという理由だけで、すべての解体に同じ許可が必要になるわけではありません。この記事では、区域・作業内容・相談窓口を整理する順序を説明します。

そもそも、河川区域と河川保全区域とは?

河川区域は、水が流れている場所だけではない

河川区域は、川の水が流れる土地だけでなく、堤防など河川の管理に必要な土地を含む区域です。普段は水がない場所もあるため、現地の見た目や川岸の位置だけでは判断できません。

河川保全区域は、河川を守るため周辺に指定される区域

河川保全区域は、河川区域に隣接する土地で、河岸や河川管理施設を守るために指定される区域です。地面を掘る、盛る、工作物を造るなどの行為が、河川へ影響しないか確認する仕組みがあります。

同じ「川沿いの家」でも、指定の有無や敷地内の位置によって扱いが変わります。所在地と作業位置を窓口へ示し、まずどの区域の話なのかを確認してください。

相談前に知っておきたい用語

  • 河川管理者:その河川を管理する国や都道府県などです。相談先は川や区間によって異なります。
  • 護岸:川の岸が水の流れなどで削られにくくする構造物です。見えているコンクリートを自宅の土留めと決めつけないようにします。
  • 工作物:建物や塀など、人が造った構造物を指す言葉です。
  • 除却:建物などを取り除くことです。申請書では解体をこの言葉で表す場合があります。
  • 掘削:地面を掘ることです。基礎を撤去するために掘る作業も、確認の対象に含めて考えます。
  • 占用:河川の土地などを一定の目的で継続して使うことです。工事場所の利用と構造物の撤去は、別の確認になる場合があります。

解体なのに河川の確認が必要になる理由

川沿いの工事では、土を掘る位置や深さ、機械を置く場所が、河岸や堤防の周囲に関係します。また、工事中の材料や土をどこに置くかによって、必要な確認が変わることがあります。

河川管理者への相談は、建物を残すか壊すかだけを決めるものではありません。どの方法で撤去し、工事中と工事後をどの状態にするかを確認するための手続きです。早めに相談すれば、その条件を見積りや工程へ反映しやすくなります。

河川区域内では「取り壊す」ことも確認する

国土交通省は、河川区域内の工作物の新築・改築・除却について、河川法第26条に基づく許可の仕組みを案内しています。新しく造る工事だけが対象とは限りません。既存の物を撤去する場合も、手続きを確認します。

さらに、土地を使うことや地面を掘ることなど、予定する行為に応じた確認が必要になる場合があります。以前に設置の許可を受けた建物があるなら、その許可書も持参し、撤去に伴う扱いを相談してください。

河川保全区域では、基礎撤去の掘削も伝える

河川保全区域については、河川法第55条で土地の形を変える行為や工作物の新築・改築などが規定されています。河川区域内の除却の規定と、同じものとして説明することはできません。

そのため、「家を壊すだけです」と伝えるのではなく、基礎をどこまで掘り出すか、地面の高さを変えるかまで示すことが大切です。許可を要しない行為の規定もありますが、河川管理施設との距離や行為の条件があります。

「浅く掘るから不要」「川から離れているから問題ない」と、一つの数字だけで決めないようにしましょう。位置図や断面図を示して、その工事計画での扱いを確認します。断面図は、地面や建物を横から切って見た形の図です。

ハザードマップとは、確認する目的が違う

洪水ハザードマップは、浸水の想定や避難を考えるための資料です。一方、河川区域や河川保全区域の確認は、工事に関する行為の制限を調べるために行います。地図で浸水の色が付いているかどうかだけで、河川法の許可の要否は判断できません。

安全な工程を考えるための情報と、法令上の区域を確かめる資料の両方が必要になる場合があります。調べている地図が何を示すのかを区別して使ってください。

相談から工事までの流れ

  1. 川と工事位置を特定する:住所、地番、地図、写真をまとめます。
  2. 区域と管理者を確認する:河川区域・河川保全区域の指定と窓口を調べます。
  3. 解体範囲を整理する:建物、基礎、塀、配管、整地などを分けます。
  4. 施工計画を相談する:掘削範囲、機械、仮置き場所などを示します。
  5. 必要な申請を進める:管理者に必要書類と確認期間を聞き、担当者を決めます。
  6. 許可条件を見積りと工程へ反映する:作業時期、方法、復旧の条件を共有します。
  7. 条件を整えて着工する:許可が必要な作業は手続きの完了を確認します。
  8. 工事後の確認を行う:必要な完了届や検査、復旧の記録を窓口へ確認します。

徳島では、どこへ相談する?

県が管理する河川に関しては、徳島県が河川保全区域内の行為の許可申請様式と、県土整備の地域窓口を案内しています。工事場所に対応する窓口を確認してください。国が管理する区間などは相談先が異なります。

最初の問い合わせでは、「どの川の、どの場所で、建物と基礎をどこまで撤去したいか」を伝えると整理しやすくなります。河川名が分からなければ、位置図に印を付けて管理者の確認から相談します。

この記事だけで窓口を決め切れない場合も、住所だけでなく地番や近くの橋の名前など、場所を特定できる手元の情報を用意すると役立ちます。

仮置き場所と工事車両の場所も計画に入れる

自分の敷地が狭いとき、隣の河川敷や堤防上の空いた場所を、一時的な資材置場や車両置場に使えると思うかもしれません。しかし、空いていることと工事で使ってよいことは別です。

工事のために河川側の土地を使う計画があるなら、使用する面積、期間、何を置くかを示して相談します。道路として使われている場所では、道路に関する手続きも別に確認が必要になる場合があります。

見積りでは「河川側に機械を置ける前提」になっていないかを確かめます。使えない場合の搬出方法や機械配置も、契約前に検討しておくと比較しやすくなります。

川側のコンクリートを勝手に撤去しない

川に面したコンクリートや石積みが、建物の基礎なのか、私有の土留めなのか、河川の施設なのかが分かりにくい現場もあります。見た目だけで建物と一緒に取り除く範囲へ入れないでください。

残す施設と解体する部分を、現地の印と図面の両方で共有します。取り合い部分、つまり二つの構造物が接する部分をどう処理するかも、管理者と施工会社に確認します。

見積り金額に影響しやすい条件

  • 区域確認や申請に必要な図面・調査の範囲
  • 川側の施設を残すための施工方法
  • 基礎の深さと河川側への近さ
  • 機械を置く場所と搬出経路の制限
  • 土や材料を敷地内に置ける量
  • 水が出る場所での施工上の確認事項
  • 工事時期や作業期間に関する条件
  • 工事後の地面・施設の復旧範囲

建物本体の解体費だけを比べず、調査・申請への対応、仮設、安全対策、復旧を含めて確認します。管理者との相談前の概算なら、どの条件がまだ決まっていないかを説明してもらいましょう。

初心者が勘違いしやすいこと

自分の土地なら河川法は関係ない?

所有者が誰かという話と、区域内の行為にどの制限があるかという話は別です。私有地でも、指定や工事内容の確認が必要になる場合があります。

地上だけ壊せば、その後の基礎も同じ扱い?

地上の撤去と、地面を掘る工事は分けて説明してください。最初は基礎を残す予定でも、途中で撤去へ変更したなら、確認済みの計画と違わないか相談します。

許可申請書を出したら、すぐ工事ができる?

申請の提出と許可は同じではありません。補足資料や計画の調整が必要な場合もあるため、着工できる条件と時期を担当窓口に確認します。

現地調査で確認するポイント

  • 川・堤防・護岸と建物の位置関係
  • 河川区域等の境界を確認する資料の有無
  • 基礎や地中部分の位置と撤去範囲
  • 川側へ接する塀・配管・構造物
  • 敷地と周辺の地盤の高さ
  • 機械の設置場所、資材置場、搬出経路
  • 残す施設を識別し記録する方法

測るために護岸を降りたり、立入りを制限された場所へ入ったりする必要はありません。安全な場所から分かる状況を伝え、詳しい調査の方法は業者へ相談してください。

業者へ聞いておきたい質問

  • この工事位置の区域と河川管理者を確認しましたか。
  • 建物撤去と基礎掘削を、それぞれ相談する計画ですか。
  • 申請図面や管理者への説明を誰が担当しますか。
  • 見積りに河川側の土地を使う前提がありますか。
  • 護岸などの残す施設と解体部分はどう区別しますか。
  • 許可条件で金額や工期が変わる場合、いつ説明されますか。
  • 完了後に必要な届出・検査・記録はありますか。

工事前チェックリスト

  • □ 位置図に工事場所と近くの川を示した
  • □ 河川区域・河川保全区域と管理者を確認した
  • □ 地上部分と掘削する部分を分けて伝えた
  • □ 工事中に使う土地と仮置き場所を確認した
  • □ 残す護岸・塀・配管を図面で共有した
  • □ 必要な手続きと着工の条件を確認した
  • □ 追加条件の費用と工期への反映方法を決めた

よくある質問 FAQ

小さな物置だけでも確認が必要ですか?

建物の大小だけでは判断できません。区域と基礎の扱い、作業場所を示して相談してください。簡単に動かせる物だから必ず対象外、とは限りません。

保全区域なら解体はすべて許可が必要ですか?

一律には言えません。地上部分の撤去だけなのか、土地の掘削や形状変更を伴うのかを区別し、適用される規定と例外を窓口で確認します。

建て替えの相談と一緒にできますか?

解体後の計画も併せて伝えると、必要な確認を整理しやすくなります。ただし、新築計画の相談をしただけで、先行する解体や掘削の手続きが済むとは限りません。

相談時に用意するとよい資料

  • 所在地、地番、近くの川が分かる位置図
  • 敷地の配置図と建物・基礎の図面
  • 川側と敷地内の写真
  • 撤去する範囲と残す範囲の図
  • 過去の河川関係の許可書や協議記録
  • 工事時期、整地後の高さ、次の土地利用の予定

不明な深さや寸法は、推測で確定値として書かず「不明・調査予定」と伝えます。どの情報を追加で調べる必要があるか、相談の中で整理してください。

まとめ|区域と作業内容をセットで確認する

川沿いの解体では、河川区域と河川保全区域を区別し、建物撤去・基礎掘削・作業場所をまとめて相談することが大切です。川からの見た目の距離だけで許可の要否を決めないようにしましょう。

徳島で工事を相談するときも、位置図と撤去範囲、手元にある許可資料を共有してください。管理者の確認を踏まえた見積りと工程にすると、着工前の準備を進めやすくなります。

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参考情報・出典

確認日:2026年9月30日。国の資料は制度の説明として参照しています。実際の区域、必要な許可、提出書類は工事場所を管理する窓口へ確認してください。